レビュー ネタバレなし

面白いからこそ惜しい『Fire Emblem Engage』の二面性

面白いからこそ惜しい『Fire Emblem Engage』の二面性

1月20日に発売された、FEシリーズの最新作『Fire Emblem Engage(ファイアーエムブレム エンゲージ)』。
無事にクリアし、エンディングまで到達できたので
ゲームの紹介や思うところなどをいろいろと書いていきたいと思います。

FEをプレイするのは本作で3つめなので、初心者ともシリーズファンとも言えない立ち位置ですが
そんなプレイヤーの素直な意見として読んでいただければと思います。

もくじ
  1. どんなゲーム?
  2. 良い点
  3. 気になった点
  4. まとめ

どんなゲーム?

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マス目状に区切られたマップの上で戦闘が繰り広げられる、いわゆるシミュレーションRPGです。
ユニット(キャラクター)を動かして敵と戦っていき、盤面の制圧を目指します。
将棋やチェスに近いですね。

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ワールドマップで行き先を選択
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拠点では仲間との交流も

基本的には戦闘マップをどんどん進めていくゲームですが
合間合間のイベントでシナリオが進んだり、拠点で武器や道具を準備したり、と
RPG要素があるのがこのジャンルの特徴。

さらに、『ファイアーエムブレム』シリーズは
キャラクター間での交流要素が強いのも、大きな特色として挙げられると思います。

采配のおもしろさ

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戦闘はターン制で、自軍のユニットが全て行動したら敵軍にターンが移ります。
戦闘で負けてしまったキャラは「戦死」となり、ロストしてしまう※1ので
いかに自軍に被害を出さずに殲滅するか、という采配が非常におもしろいゲームです。

加えて、本作は過去のシリーズよりも戦略性が上がっているように感じられ
「このユニットはこう動かそう」とか「この敵は厄介だから早めに対処しよう」とか
うんうん唸っている時間がめっちゃ楽しいです。

反面、シリーズ初プレイの人にはちょっと難しいんじゃないかこれ、と思う部分もありますね。
難易度は高め...というか覚えることが多いです。

※1キャラクターがロストしないモードもあります

紋章士と「エンゲージ」

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『ファイアーエムブレム』シリーズの歴代主人公たちが力を貸してくれる「エンゲージ」。
このシステムも、戦略性の向上に一役買っています。

キャラクターごとに、さまざまな特殊能力を自軍ユニットに与えてくれるシステムですが
かなりズルくてはっちゃけた能力であるのと同時に
きちんと考えて使わないと逆にこちらが痛手を負う...という、しっかりしたバランスになってます。

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固有の能力はどれも強力
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必殺技は、派手で気持ちがいい

あまり歴代のキャラクター達を知らずとも「次はどんな能力の紋章士と出会えるだろう」という
ゲームを進めるモチベーションになっている
のが上手いなあと感じます。

私自身も半分以上は知らないキャラでしたが、このシステムはとても楽しめました。
ただ、知ってるキャラにはやっぱり愛着が沸いてしまいますね。

ユニットを育成しよう

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強すぎィ!
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全く違う兵種に変えることも

ユニットの育成も楽しみの一つ。
シリーズ共通ですが、レベルが上がると能力値がランダムでアップしていく仕組みです。

この「ランダム性」によって、「このキャラはすごく強く育ったなあ」とか
逆に「このキャラはへたれてしまった...お気に入りなのに」みたいな
プレイヤーの中でキャラ付けがされていくのが面白いんですよね。

「ファイアーエムブレム」の戦闘は、だいたい10人くらいは毎回出撃するので
育てたユニットみんなが活躍するところを見られるのも、普通のRPGにはない魅力だと思います。

ただ、育成要素のひとつ「スキルの継承」に必要なリソース(SP)が稼ぎにくい点は
改善して欲しい部分ではあります。

良い点

グラフィックとモーション

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かわいい

主にキャラクターの事になりますが、モデリングの出来は本当に良いです。
デザイン自体の良し悪しは好みなので置いておきますが
ゲーム内で動いているところを見ると、より良く感じますね。

特に、瞳の表現はすごく精密に作ってあるなあという印象。

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個人的にお気に入りのポーズ
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動きがハデ

モーションにも力が入っていて、戦闘ではかなりダイナミックにキャラが動きます。
カッコイイです。
敵を倒した時も結構ハデにふっとぶので、爽快感もありますね。

戦闘画面ではカメラもぐりぐり動くので、最初はちょっと目が回る感覚があるかもしれませんが
これは慣れてくるので大丈夫です。

とにかく戦闘が面白い

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前述のとおり戦略性が上がっているので、戦闘はすごく面白く仕上がってます。
ユニットの動かし方をじっくり考える楽しさ
敵を倒したときのモーションの気持ちよさが同居しているのも、本作ならではの魅力かもしれません。

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未だに覚えられない「3すくみ」
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チェインガードにはお世話になりました

さらに、本作では武器の相性がより重要な要素となっていたり
移動力で劣る歩兵にも役割があったり、うまく考えられてるなと思う部分が多いです。
こういった要素を敵がちゃんと活用してくるのもポイント。

しかし、その分把握していないといけない情報が多いとも言えます。
「これ説明しないとFE初めての人は分からないんじゃないの?」と思う箇所も割とあったので
初心者の方が混乱してしまわないかはちょっと心配です。

気になった点

シナリオとテキストの問題

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はっきり言って、シナリオが目的の人にはおすすめできません。
特に、ユーザーを惹きつけないといけない序盤が本当に酷い。

全体で言えば面白い部分もあったし、プレイヤーの心を動かしてくれるような展開などもありました。
しかし、シナリオというかテキストにセンスがないんですよね。

何というか、1から10まで全てを説明するテキスト...といった感じで
序盤中盤あたりは、言い回しを変えてずっと同じ話をしている印象。山も谷もないです。

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本作は、過去作のようないわゆる戦記ものではなく完全ファンタジーです。
シリーズ未プレイの人にも入りやすい話、のようには感じられますが
その割には戦闘バランスの調整はシリーズファンに向けたもののように感じるので
結果的に、誰をターゲットにしてんだこれという印象が拭えません。

そもそも、本作くらいファンタジー一本の話をFEでやる必要があったのかが疑問です。

キャラクターに魅力がない

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前項のテキストの問題と同義と言っても良いかもしれませんが
見た目以外でキャラを好きになる要素が薄いです。

FEには「支援会話」という、好感度的なものが上がると見られるイベントがキャラクター間にあって
キャラを深掘りするという意味でもとても重要なシステムなのですが
本作はこの「支援会話」に深みがないんです。

ただの日常会話を見せられている感じで、キャラにバックボーンをほとんど感じません。
有り体に言えば、虚無です。

突飛な言動だけでキャラ付けをされているような感じで
逆にどこかで見たようなキャラばかりになってしまってますね。

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さらに、こちらはシナリオの問題と通ずる面もありますが
敵キャラについても同じです。ただ趣味が悪いだけという感じ。
これのせいでシナリオも全体がなんか悪趣味に感じます。

何かこう、敵との信念のぶつかり合いを感じないんですよね。
「趣味が悪くて憎たらしい」を、プレイヤーが敵を倒したくなる動機にしないでほしい。

総じて、敵も味方も男も女も「カッコよさ」を感じないキャラクターばかりになってます。

拠点のよく分からない造り

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狭い
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これ、いる...?

1回の戦闘が長く、連戦は疲れるというユーザーにとっては
拠点はインターバルとしても重要な役割を持つと思います。
本作では拠点でやれることがかなり豊富で
ミニゲームで一時的に能力を上げたり、育成のリソースを得たり等、さまざまなものがあります。

...なのですが、拠点でできるアクティビティは総じて面白くないです。
マップの道が狭く入り組んでることもあり、アイテムの回収なども大変。
おおむね面倒くさいと言えます。

面倒なだけならやらなければいいんですが、難易度を上げたりすると
こういうのもきちんとやらないといけないのかな、と思うとちょっと問題に感じますね。

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その中でも、それなりに利用しそうな「鍛錬の間」と「紋章士の間」が
ロードを挟む別マップ扱いになっているのは意味不明です。

後ろで読み込むデータの問題とか、なにか理由があるのかもしれませんが
割と頻繁に往復するのに毎回ロードが挟まるのでだるいです。
拠点の本マップには、いらないミニゲームとかでなくこういう重要施設を置いて欲しかったですね。

その他、UIが分かりにくく操作性が悪いなどユーザビリティの問題もありますが
これは慣れでなんとかなる範疇かなと思います。

まとめ

正直なところ、もっとズタボロに書こうと思っていたのですが
クリアまでやってエンディングを見ると、いやーやって良かったなあという気持ちにもなりました。

「シナリオはどうでもよくて、戦闘が面白ければいい」という方には最高のゲームだと思います。
私個人は、シナリオが面白くないと熱い気持ちになれないので
戦闘が抜群に面白い分、本当にもったいないタイトルだなと感じてしまいますね。

総合すれば、FEだと思わなければ良いゲームだと思います。

今回のポイント
  • 戦闘と育成は本当に面白い
  • シナリオは面白くなるまで我慢するしかない
  • ゲームとして出来がいいだけに惜しい

Fire Emblem Engage
タイトル Fire Emblem Engage
メーカー 任天堂
発売日 2023年1月20日
定価 パッケージ版 / 7,678円
ダウンロード版 / 7,600円