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原作ファンから見た『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』の良し悪し

原作ファンから見た『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』の良し悪し

聖剣伝説3 TRIALS of MANA』は、1995年にスーパーファミコンで発売された
聖剣伝説3』のフルリメイクタイトル
20年以上の時を経て実現したこともあり、リメイクを渇望していたファンからは
拍手喝采が上がったことと思います(私もその1人)。

今回は、待望のリメイクである本作を、原作ファンの視点も交えつつご紹介します。

もくじ
  1. どんなゲーム?
  2. 良い点
  3. 気になった点
  4. まとめ

どんなゲーム?

原作ファンから見た『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』の良し悪し 02

街やダンジョンを回り、モンスターやボスを倒してお話を進めていく、といういわゆる一般的なRPGです。
聖剣シリーズの特徴としては、戦闘がアクションである事が挙げられます。

3Dフルリメイクという事で、当たり前ですが
キャラクターやフィールド・街などがすべて3D空間の中に描写されており
当時、2Dのマップを見下ろしてあれこれ想像を膨らましていた原作ファンの我々としては
より現実に近い「聖剣3」の世界がそこにある、というだけで感動を覚えてしまいます。

選ぶ楽しさ、悩む楽しさ

原作ファンから見た『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』の良し悪し 03
ゲーム開始直後、まずは主人公と仲間を選択

本作では6人のキャラクターから主人公となる3人を選び
さらにはその3人をどのクラス(職業のようなもの)に就けるかも選び…と、
パーティ編成の自由度が凄いことになっています。

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主人公たちは「クラスチェンジ」で強化される
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クラスチェンジすれば見た目も変化!

クラスチェンジは、物語の中で何度かおこなう機会があり
各キャラクターにつき9つのクラスがあります(原作では7つ)。
主人公が選択制なこともあり、一度のプレイでは全てのキャラ・全てのクラスが体験できないんですね。

しかし、だからこそ
誰を選ぼうか、どのクラスチェンジにしようかという「悩み」が楽しいんです。

よりシームレスになった戦闘

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原作においても、フィールド上で出会った敵と画面切り替えを挟まずに戦闘が開始する
いわゆるシームレスバトルの形でしたが
本作では、エリアで区切られていたフィールドがつながっていてシームレス感が増しています。

さらに、魔法や必殺技のエフェクト中にもちゃんと時間が経過するようになっており、
このあたりは最新ゲームとして順当に進化してきている部分だなと感じます。

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存分に武器を振るおう
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危険範囲表示も

戦闘自体はシンプルで、攻撃ボタンを押してコンボを繋げていく感じですね。
操作は簡単で、理解しやすくまとまっています。

反面、アクション要素が強いとは決して言えません。
アクションが不慣れな方にも馴染みやすいのは間違いないですが
端的に言えば戦闘はあんまり面白くないです。

「古き良きRPG」の安心感

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本作は全体的にすごくシンプルです。
キャラクターの成長要素など、一部現代風にアレンジされた部分もありますが
基本的にはそんなに難しい事を考えずとも遊べます

バトルして、キャラを強化して、シナリオを進めていって...という
世界各地を旅する体験はやはりRPGの醍醐味ですので
本作は、そういったRPGならではの栄養を気軽に摂取できる貴重なタイトルだと言えます。

良い点

キャラクターのモデリングは抜群

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エロい

原作のイメージを全く壊す事なく、素晴らしい3Dモデルに仕上がっています。
特に、原作では他キャラと比べると人気が一段落ちていたケヴィンとアンジェラが
モデリングのおかげで株を上げているように感じます。これは本当に拍手。

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こちらもエロい

「聖剣伝説3」は、良くも悪くもキャラゲーです。
この特色をきちんと理解していた開発陣は有能と言わざるを得ません。

一つ苦言を呈すならば、表情やリップシンク、モーションなんかは結構お粗末な出来で
ここはもうちょっと頑張れなかったのかなと思ってしまいますね。

余計なことはせず、必要な調整はする

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こちらも(略)

何をリメイクしたのか、していないのかという点は原作ファンとしては非常に重要なポイントですが
このバランス感覚は非常に優れている、と言えます。

いらない改変・蛇足な追加要素などはほとんどなく、すごく原作に忠実なリメイクです。
さらに、原作で問題だったクラスチェンジのタイミングに調整が入っています。これは素直に褒めたい。

新規のユーザーにはともかく、SFC版を知っているユーザーにとっては
素晴らしいファンアイテムになっていると思います。

気になった点

ロードが長い

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待。

長いです。
「あーロードのないSFC版やりたいなあ」となるくらいには長いです。
「原作」という比較対象があるために、より問題に感じてしまいますね。

普段のマップ移動ではそこまで気にならない程度ではありますが
ゲーム中盤以降、世界各地を飛び回るようになるとこの問題が顕著に響いてきます。

そして、最終的に周回プレイをする意欲を削がれる要因となります。

現代のゲームにおいては、切っても切れないどうしようもない部分なのかもしれませんが
こんなことなら初めから3Dにするな、と言いたいです。

「難しい」と「めんどくさい」は違う

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シールドを割らないとダメージが通らないモンスター
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飛んでる敵は本当に当てづらい

戦闘での話になります。
雑魚敵の中に「シールド持ち」と「飛行」の特性があるモンスターがいるのですが
こいつらがまじで面倒です。本気で面倒です。

単調になりがちな雑魚戦にメリハリをつけるための要素なんだろうな、と推察できますが
なにも面白い点はなく、ただただだるいだけです。
こんな中途半端なものになるなら入れないで欲しい。

そもそも、このいらない要素以前に雑魚敵は妙に体力が多く
全力で戦いたいボスは体力が低い、みたいなバランスになっているように感じます。

これらも、前項と同じく周回プレイのモチベーションを奪う要素になってます。

「いらない改変」はなくはない

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まず、クラスチェンジの扱いが軽い
原作では、クラスチェンジは非常に神聖なものであり、緊張の一瞬...といったような演出なのですが
リメイク版ではポップで軽快なBGMが流れます。

曲自体が悪いわけではありません。この大事なシーンで明るい曲を使うというディレクションが悪いのです。
主人公のひとりであるデュランの旅の目的でもあるので、こんな軽い扱いにはして欲しくなかったです。

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もう1点。物語の中盤で、BGMにぴったり合わせて演出されている素晴らしいイベントシーンがあるのですが
リメイク版では、同シーンがBGMに合わせるどころか曲をぶった切りにするという改悪がなされています。
このイベントは「聖剣伝説3」を象徴するシーンでもあるので、もっと大事にしてほしかった。

この他にも、魔法・必殺技のエフェクトとSEが安っぽいとか、
リングコマンドの回り方逆だろとか、いろいろ言いたい事はありますが
原作ファンとして容認できない問題として上記2点を挙げました。
そうでない方には別段気にならないかもしれません。

まとめ

「原作との比較」にかなり寄った内容となり
純粋にどんなゲームなのか知りたい方には申し訳ない記事になってしまいましたが
すみません、書きたい事は書かせていただきました。
が、作品愛ゆえの意見であること、ご容赦ください。

気になる点は多々ありますが、総じて言えば良リメイクであると言えます。
1つのゲームとしてはおすすめしにくい面もありますが、ファンアイテムとしては最高です。

...HD-2Dの聖剣3、見たかったなあ。

今回のポイント
  • 原作に忠実な、古き良きRPG
  • 主人公6人のグラフィックは最高
  • 戦闘には期待しない方がいい

聖剣伝説3 TRIALS of MANA
タイトル 聖剣伝説3 TRIALS of MANA
メーカー スクウェア・エニックス
発売日 2020年4月24日
定価 パッケージ版 / 6,578円
ダウンロード版 / 6,578円