レビュー ネタバレなし

『鳥類弁護士の事件簿』レビュー : 愉快なトリたちがさえずる法廷バトル

『鳥類弁護士の事件簿』レビュー : 愉快なトリたちがさえずる法廷バトル

2022年12月15日に発売された、法廷アドベンチャーゲーム『鳥類弁護士の事件簿』について
評価と感想を交えてレビューしたいと思います。

独特なビジュアルが目を引く意欲作。
インディータイトル特有の「個性」が光るタイトルです。

もくじ
  1. どんなゲーム?
  2. 良い点
    1. 雰囲気は最高
    2. 愉快なキャラクターたち
    3. 翻訳はがんばってる
  3. 気になった点
    1. 演出面が弱い
    2. ドキドキ感が薄い
  4. 総評・まとめ

どんなゲーム?

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テキストアドベンチャーゲームです。会話を読んで選択肢を選んだり
いろいろな場所を調べたりすることで進んでいきます。

弁護士ものということで、事件の調査だけでなく法廷バトルパートもしっかりとあり
調査で集めた証言や証拠品を武器に謎を解いていく、
ミステリやサスペンスに分類されるタイプのシナリオになっています。

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19世紀のフランス、パリの街で巻き起こるさまざまな事件を
弁護士のファルコン・その助手のスパロウソン二羽の視点を通じて解決していきます。

ゲーム性は『逆転裁判』シリーズとほぼ同じです。
パロディ・オマージュと取れる場面もいくつかあり、逆転裁判フォロワーとして
狙って作られている感じ。

ゲームの流れ

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現場に足を運び、調査をすすめよう

基本的には、無実の容疑者を救うために殺獣事件の捜査をすることになります。
犯行現場に赴き、背景を調べたりすることで証拠品を入手
目撃者から話を聞いたりなど、証言を集めることも大事ですね。

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気になる証言を指摘
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証言と矛盾する証拠をつきつけよう

法廷パートでは、証人の証言からおかしな箇所を指摘し
こちらの主張を裏付ける証拠品を提示することで裁判が進んでいくしくみ。
選択を間違いすぎると、陪審員からのイメージが下がるなどの要素も。

システムが簡潔で分かりやすく、テンポも良いのでかなりサクサク進められます。
調査が十分でないと、証拠品が足りなくて勝てなかったり
ただ読み進めるだけでは攻略できないゲーム性も備えています。

チャプターを選択

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任意の場所へいつでも戻れる
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[B]ボタンの長押しでスキップ

一度体験した部分であれば、タイトル画面から
章内の好きな場所を選択して進めることが可能です。

スキップ機能もあり、失敗したときのやり直しはすごくしやすくなっています。

インディーゲームながら、こういった
ノベルゲーに必要な機能をちゃんと実装してくれているところはとても好印象。
スキップ機能を軽視してるADVも世には意外とありますからね。

良い点

雰囲気は最高

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すごく「それっぽい」ゲーム画面

本作は、19世紀の風刺画家J・J・グランヴィルのアート作品を
ゲームのグラフィックとして使用しています
。最大の特徴と言える部分ですね。

イラストに合わせたモノクロの画作りと、それを引き立てるクラシック音楽のBGMが
なんかすごく19世紀当時の雰囲気っぽさを感じさせます。
モノクロでもこれだけ良いゲーム画面が作れるんだなあ、と舌を巻いてしまいますね。

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こういった、かなり思い切った事をしている点が
インディーゲームならではの個性であり、ゲームを好きになる要素にもなりえると思います。
本作のような、挑戦的な作品がたくさん出る事を期待したいです。

愉快なキャラクターたち

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テキストもはっちゃけてます

キャラクター作りが上手いです。
動物たちの会話は読んでいてとても愉快で、真面目すぎないテキストがいい感じ。

特に、イラストに合わせたキャラ付けが良くできているなあと感じます。
キャラグラフィックの見た目から想像できるような言動をしてくれるので
納得感があります。

会話が楽しくて読み進めやすいのは、この手のゲームでは大事ですね。

翻訳はがんばってる

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ところどころで動物ダジャレみたいなのも出てきて
翻訳もきっちりなされている印象。

多少、「海外のテキストを翻訳した独特の言い回し」みたいなものもあって
気になるところではありますが
機械翻訳された感はあまりなく、頑張っていると思います。

気になった点

演出面が弱い

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テンポが良すぎる、と言ってもいいかもしれません。
ほとんどの場面で、演出がなくテキストを読むだけになってしまっているのが
残念に感じます。

なので、いまいちお話に入り込めず
何かよく分からないうちに解決している、という印象を持つことが多いです。

プレイヤーが置いてけぼりなまま進んでしまう感覚があるので
主人公の心理描写などをもうちょっと演出として加えて欲しかったな、というところ。

ドキドキ感が薄い

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物語自体は、構成もトリックも良くできていて
面白く無い、という訳ではないのですが
ミステリ特有の「続きが気になってどんどん進めたくなる」という感じは
正直あんまりなかった
です。

ゲーム自体のテンポは良いものの、謎が解明されていくスピード感が感じられなかったので
ミステリアドベンチャーとしては、諸手を挙げて絶賛できるような
ものではなかったかなあ、といったところ。

面白い展開も全然なくはないので、この辺りは特に主観的な意見といえるかもしれません。

総評・まとめ

総合評価

69
Points
  • シナリオ★★★
  • キャラクター★★★★
  • グラフィックと雰囲気★★★★★
  • コストパフォーマンス
  • のめり込み度★★

割と辛口な評価ですが、プレイ中は楽しくあそべるゲームになっています。
ただ、価格がちょっとお高いんですよね。
ゲーム内容と価格を照らし合わせると、点数としては結構マイナスになるかなと思います。

絶賛するのは難しいですが、いろいろと挑戦的なタイトルとしては
支持したいところではありますね。

同ジャンルのゲームはいくつかありますが、それと比べても出来が悪いわけではないので
ADVが好きな方にはおすすめできるタイトルです。

今回のポイント
  • グラフィックとBGMで独特の雰囲気
  • 登場動物たちのキャラがいい
  • 値段が高いのでセールを狙いたい

鳥類弁護士の事件簿
タイトル鳥類弁護士の事件簿
メーカーLeoful
発売日2022年12月15日
定価ダウンロード版 / 3,278円